こんにちは、ゆんつです。
山口県下関市伊倉に「豊神社」という神社があります。
この神社の境内には"「ぐみの実」之塚"という塚が建てられています。
塚の横には"民話「ぐみの実」之塚由来記"という看板があり、塚が建てられた由来が書かれています。
その、民話を読んでみると、なんとも後味が悪くかわいそうな話でした。
今日は、その民話をご紹介したいと思います。
民話「ぐみの実」之塚由来記
"「ぐみの実」之塚由来記"という看板に書かれている民話の内容を抜粋します。
昔、伊倉八幡宮の近くに、男の子を連れた浪人親子二人が住んでいました。
生活はあまり豊かでありませんでした。
日照り続きの夏の事です。
村人が大切に作っていたスイカが盗まれる、という珍事が毎晩のように起こりました。
犯人はあの浪人の子供に違いない、ということとなり、浪人に告げ「始末をつけてくれ」といって迫りました。
浪人は深く我が子の性来を信じていましたが、それを証明するものは何もありません。
そこで遂に決してその子を殺して開腹してみせた結果、スイカの種子は無く、ただ「ぐみの種子」一粒が出ました。
村人たちは驚き、かつ怖れ嘆きながら深く陳謝しました。
浪人は自分を責めた村人たちの所為を怒ることなく、我が子の正しさを認められたことを深く喜び、自らもその場で切腹して果てました。
村人たちは、この浪人親子の霊を慰めるために墓を建て、永く祀ったのであります。
以上が"民話「ぐみの実」之塚由来記」"の抜粋です。
この塚は、そんな悲話が忘れられぬように、地域住民の方の協力で建てられたそうです。
後味が悪い
この民話。
なんとも救いがなく、後味の悪い話です。
何の証拠もないのに浪人を疑った村人が悪いのはもちろんですが、子供のお腹を開いて潔白を証明しようとする浪人も浪人です。
「始末をつけてくれ」と浪人に言った村人も、まさかそこまでするとは思っておらず、さぞドン引きしたことでしょう。
子供のお腹の中を見せたいなら腹を切らなくても、子供のうんこを村人に見せて内容物をチェックさせればいいだけなのです。
そして、子供の潔白が証明されると、浪人も立て続けに切腹。
まるでスイカを切るかのような手軽さでサクサクと腹を切ってしまいます。
しかも、この話が救われないのは、一番の悪人であるスイカ泥棒がつかまっていないことです。
浪人の切腹のあとに真犯人がつかまって、村人が慰霊のために墓を建てたならまだ救われます。
でも本当のスイカ泥棒はつかまらず、まんまとスイカを手に入れて素知らぬ顔をしているのです。
無実の2人が死んで、スイカ泥棒が逃げ切っている。
これが、僕がこの民話を救いがなく、後味が悪いと思う理由です。
スイカ泥棒め!
浪人親子の墓
ぐみの実塚の正面に上へと続く階段があります。
その階段を上がると、大小一対の墓があります。
これが、浪人親子の墓だといわれているそうです。
多分右側の大きいのがお父さんの墓で、左側の小さいのが子供でしょう。
真ん中のは?
わかりません・・・
あの世で親子仲良く暮らしていてほしいものだと思います。
スイカを盗んじゃいけません!
今はちょうどスイカの美味しいシーズンです。
もし、畑に実っているスイカを見て「盗みたい!」というような悪い気持ちが起こっても。
この悲しい民話を思い出して、決してスイカを盗まないようにしてください。
僕も盗みません!
当たり前だ!
それでは、またー。
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