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僕は「密吸い団」に所属していました

雑記

こんにちは、ゆんつです。

季節はすっかり春。

いろんな場所で花が咲いています。

この時期に特に目立つのは「つつじ」です。

満開のつつじ

散歩をしていると色とりどりのつつじが目を楽しませてくれます。

そして僕はつつじを見るたびに思い出すのです。

そう、若かりし日の

密吸い団

のことを。

蜜の美味さを知る

小学生の頃、学校の周囲には大量のつつじが植えられていました。

ある春の日の昼休みの事。

僕たちいつも一緒に遊ぶ4人組は「探検」と称して学校内を練り歩いていました。

ツツジの木が植えられている土手を歩いていた時のことです。

友人の一人が

ツツジの蜜って美味いの知ってる?

といい、ツツジの花を木から抜いて、木と花の継ぎ目の部分をチュッチュと吸い始めました。

つつじの蜜

他の皆も彼を真似てツツジの花を引き抜いてチュッチュと吸います。

ゆんつ
ゆんつ

甘い!

男性

美味い!

皆が歓声をあげます。

蜜を吸っているうちにテンションが上がりすぎて

砂糖より甘い!

というような明らかな嘘をつく奴もいましたが、全員テンションが上がっていたので誰も突っ込みませんでした。

僕たちは探検を中止し、ミツバチのように一心不乱に花の蜜を吸いました。

その日から僕たちの昼休みの時間は遊び時間では無く、密吸いの時間に代わりました。

蜜吸い団結成!

つつじの蜜吸いに慣れてくると

赤いツツジより白いツツジの方が甘い!

などというグルメなやつが出現したりして、色んな色のつつじを引き抜いて蜜の吸い比べをしたりしました。

馬鹿というのは、磁石のように馬鹿を引き寄せます。

ある日いつものように蜜を吸っていると、同じクラスの別の5人グループが僕たちに「何してんの?」と聞いてきました。

僕たちはツツジの蜜の美味しさを彼らに説きました。

彼らも僕たちに習いツツジの花を抜いて蜜を吸います。

男性

甘い!

ゆんつ
ゆんつ

だろ!

この日から、別グループも僕たちに混じってお昼休みに蜜を吸うようになりました。

更に翌日噂を聞きつけた別グループも加わり、お昼休みに蜜を吸う集団は更に膨れ上がりました。

蜜吸いに参加していないのは頭の良い男子グループだけで、残りの男子は昼休みになるや否やツツジの木を目指してダッシュし蜜を吸うようになりました。

断っておきますが、これは戦時中の話ではありません。

平成の話です。

蜜を吸う集団が15人を超えた頃、蜜吸いのきっかけとなったリーダー格のS君が言いました。

密吸い団を結成しよう!

他の子が言います。

密吸い団って何する団なの?

S君が答えます

ツツジの蜜を吸う団だよ。

密吸い団以外は蜜を吸っちゃダメなことにしよう!

僕たちは一斉に

ゆんつ
ゆんつ

いいねー

と言い、その場で「密吸い団」が結成されました。

翌日の昼休み。

「密吸い団」がいつものようにツツジが植えられている土手にダッシュし蜜を吸おうとすると、リーダ格のS君が

ちょっと待って

といって僕たちを制止します。

S君は僕たち1人1人に名刺サイズの紙きれを渡してきます。

渡された紙きれには、アルファベットで「M・S・D」と書かれ、その下にひらがなで「みつすいだん」と書かれていました。

蜜吸い団会員証

右下には通し番号が振ってあり、僕は3番でした。

S君は

兄ちゃんに手伝ってもらって「密吸い団」の会員証を作ってきたから、無くすなよ!

と全員に言いました。

なんと彼は、昨日の夜に中学生の兄に手伝ってもらってせっせと会員証を作っていたのです。

中学生にもなって、こんなことを手伝う彼の兄もどうにかしてます。

でも僕たちは誰一人これをおかしなことだとは思わず、「団」という何だか秘密結社に参加して大人に一歩近づいたような感覚と、さらに会員証を貰ったことで何だか全員気分が高揚していました。

S君が大声で

今日は正式な結成日だから記念に吸って吸って吸いまくろうぜ!

といい、僕たちも

ゆんつ
ゆんつ

オー!

と答えました。

もうほとんど山賊です。

僕たちは「両手に花」と言うことわざをストレートに実行するかのように、右手にも左手にもツツジの花を持ちチュッチュ、チュッチュとミツバチも青ざめるほど蜜を吸ったのです。

解散

会員証が配られた記念に、散々蜜を吸ったその日の帰りの会でのことです。

帰りの会が終わる間際に先生が名前を読み上げます。

読み上げられたのは、密吸い団の構成員ばかりです。

Amazonさん
先生

今、先生が名前を呼んだ者は残れ!

他は帰っていいぞ。

密吸い団以外の生徒が帰ると先生は

Amazonさん
先生

お前ら密吸い団とか言って、ツツジの花を抜いて蜜を吸ってるらしいな

と言いました。

誰が告げ口をしたかは解りませんが、密吸い団の活動は全てお上(先生)に漏れていました。

Amazonさん
先生

ツツジを綺麗に咲かせるために用務員さんとかいろんな人が苦労してるんだぞ。

もう明日からやめろ!

先生はそういうと会員証を回収し、僕たちを連れて用務員さんに謝りに行きました。

「密吸い団」は結成から数時間で御用となり、音速の速さで解散しました。

用務員さんは笑いながら僕たちの謝罪を受け入れてくれました。

そして、僕たちに不思議そうな顔でこう言いました。

おじいさん
用務員さん

君たちは家で甘いものを禁止されてるの?

きっと今頃は・・・

僕が密吸い団に所属していた頃から随分と月日が流れました。

密吸い団の団員とは、1人を除き疎遠になっています。

今頃、団員の中に功成り名遂げている人もいるかもしれません。

そしてツツジでは無い「甘い蜜」を吸っているかもしれません。

甘い蜜

ちなみに、ツツジの種類によっては蜜に毒性があるものもあるらしいので、むやみやたらと吸わないようにしましょう。

当時の僕たちはそんな知識もなく手当たりしだいに吸っていましたが、運が良かったのでしょう。

それでは、またですー。

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