派遣で働いてた時に一番印象に残った人

雑記

こんにちは、ゆんつです。

僕は20代の頃に何回か派遣で働いたことがあります。

正社員と正社員のあいだの繋ぎとして派遣で働いていたので、期間は長いものでも6ヶ月くらい。

そんな派遣社員として働いていたいくつかの現場で出会った人のうち、今でも印象に残っている人がいます。

今日は、派遣で働いていた時に一番印象に残った人について書きたいと思います。

夜勤の大量募集

仕事を退職し求職活動をしていた僕は、並行して短期でできるアルバイトや派遣の仕事も探していました。

条件は「すぐにでも出来る仕事」

ネットで調べていると、ある派遣会社の求人が見つかりました。

夜勤の軽作業の大量募集です

期間は2か月間。

ゆんつ
ゆんつ

夜勤の大量募集なら競争率が低くてすぐ採用されるかも

僕はその求人にエントリーしました。

すぐに派遣会社から「登録会に参加してください」という連絡があり、僕は登録会に参加することになりました。

面接もスキルチェックも何もなかった

登録会に参加するために派遣会社に行きました。

受付に案内され会議室のような場所に通されると、そこには既に10人近い参加者が待機していました。

履歴書と職歴書を提出し、渡された書類に個人情報などを記入して登録会が始まるのを待ちます。

開始時間になると派遣会社のスタッフが会議室に入ってきて、今回の仕事内容の説明などを始めました。

一通りの説明が終わると、「近日中に採用不採用の連絡をします」と言われ登録会は終了しました。

ゆんつ
ゆんつ

面接もスキルチェックも何もありませんでした

そして次の日には電話がかかってきて「合格」を告げられました。

多分その仕事に落ちた人は誰もいなかったと思います。

仕事初日

登録会から1週間後。

仕事が始まりました。

集合場所に行くと50人以上の合格者がいました。

その中には「軽作業なのによくこの人が合格したなあ」というような老人もいました。

ゆんつ
ゆんつ

数さえ揃えば誰でも良かったのでしょう

採用された人たちはチームごとに分けられ、その各リーダーの元でチーム単位で仕事をします。

僕のチームは8人。

ゆんつ
ゆんつ

女性も1人いました

一番最初にやらされたのはチームメンバー同士の自己紹介です。

皆で順番に自己紹介をしました。

その時に少し変わった人がいました。

Aさんと言う太った男性です。

身振り手振りを交えながら自己紹介をするのですが、自己紹介の最中に時折Tシャツの裾がめくれると腰のあたりに黄色と黒のストライプがチラチラ見えるのです。

よく見てみると、ジーンズのベルト通しの部分にベルトではなく工事現場などでよく見かけるトラロープを通しズボンの前でギュッと「ちょうちょ結び」にしているのです。

ズボンをベルトではなくヒモで縛る人なんて、僕のいままでの人生で見たことがありません。

ゆんつ
ゆんつ

小包じゃないんですから

Aさんの自己紹介が終わると、さすがに全員が腰のトラロープに気づていてチームリーダーが「Aさんベルトは?」と聞くと、Aさんは「出かける前にベルトが切れちゃったので紐で縛りました。給料が出たら買いまーす」と別に恥ずかしがる風でもなくひょうきんな感じでおどけて言いました。

周りもそれ以上は聞かずに自己紹介も終わり、そのまま仕事が始まりました。

仕事はとても簡単だった

僕たちの作業内容はA地点からB地点まで台車を使って荷物を運ぶだけの単純なものでした。

しかも当初想定していた業務量よりも実際に入ってきている仕事量が大変少ないらしく、頻繁に空き時間が発生します。

空き時間が発生すると自然とチーム内での雑談も増えます。

僕はトラロープをベルト代わりにしていたAさんを少し警戒していましたが、実際に話してみると優しくて良い人でした

初日の仕事が終わる頃にはチーム全員が結構うちとけていました。

前給制度

その時働いていた派遣会社では前給制度というのがありました。

働いた日数に応じて、給料の一部を給料日を待たずに受け取れるのです。

ただし、当然のように手数料が引かれます。

僕は「こんな制度使う人いるんだろうか?」と思っていました。

高い給料をもらっているわけでもないのに、安くない手数料を払ってわざわざ前払いをしてもらうなんて勿体なさすぎます。

生活費がどうしても足りないなら仕方ありませんが、ほとんどの人は極力利用しないようにするでしょう。

でも働き始めて4日後に僕の考えは全然違っていた事を気づかされます。

手待ち時間に前給について雑談していると、僕のチームでは8人中3人がもうその制度を利用していました。

1人はB君という20代半ばの人。

もう1人はCさんという40代くらいの人。

そしてベルト代わりにトラロープを使うAさんです。

Aさんは前給でベルトを買ったのかと思い腰のあたりを見ましたが、相変わらずトラロープでギュッとジーンズを縛っていました。

僕は前給をした人が何にお金を使っているのか不思議でした。

話していて理由が分かりました。

スロットです。

チームリーダーが「前給何につかったんですか?」ときくと3人とも「スロット」と事前に打ち合わせをしていたかのように口を揃えて答えたのです。

僕は「前給で博打を打つ」という人たちを初めて見ました。

欠勤する人たち

仕事が始まって2週間くらいして、初めてチーム内に欠勤が出ました。

休んだのは20代半ばのB君です。

仕事量が想定より全然少なく人が大量に余っている感じだったので、1人休んでも全く仕事には支障がなく、派遣会社と派遣先にも欠勤の連絡が届いているので何も問題はありませんでした。

翌日、職場につくと昨日欠勤したB君を囲んでAさんともう一人のCさんというスロットのために前給をする「スロット3人衆」が雑談をしていました。

僕が挨拶するとAさんは「B君夜勤明けでスロットに行って15万勝ったから昨日休んだって」と言いながら笑っています。

B君も得意気です。

僕は内心

ゆんつ
ゆんつ

えーっ!スロットで勝ったから休んだの?!

と思いましたが「凄いねー」と言ってその場の空気に合わせました。

その日の仕事中の空き時間

スロット3人衆はずっとスロットの話をしていました。

そして夜勤明け。

3人は一緒にパチンコ屋という第2の戦場に向かっていました。

これから期間満了までの間、AさんBさんCさんは何回か仕事を休んだのですが、欠勤する日はどうやらスロットで勝った日のようでした。

期間満了

2か月の勤務期間が終わりました。

終わってみればあっという間。

今までに出会ったことが無いような人に会いましたが、みんな気持ちは優しい人でした。

でも僕の心の中にずっとあることが残りました。

それは「あのスロット3人衆はこれから大丈夫なんだろうか?」ということです。

自分自身が不安定な状態なのを差し置いて言うのもなんですが、ちゃんと生活ができるのでしょうか?

いらぬおせっかいですが、そのことばかりが気になりました。

ちなみにAさんは、勤務最終日までずっとジーンズをトラロープで縛っていました。

大丈夫じゃないのは僕だけでした

その仕事が終わってから1ヶ月経った頃の事です。

まだ次の職場が決まっていない僕の元に、夜勤をしていたときの職場のリーダーから「飲み会」のメールが来ていました。

勤務期間中にチームで一度も飲みに行く機会がなかったので、「いつか行きたいですね」みたいな話をして各自リーダーとアドレスの交換をしていたのです。

リーダーはメール交換をした人たちに連絡を取って飲み会をセッティングしてくれたのです。

僕は参加することにしました。

当日は女性以外は全員参加という盛況ぶりでした。

みんな近況を報告し合います。

僕が心配なのは「スロット3人衆」です。

派遣の給料は遅れて振り込まれるので、また懐は温かいはずです。

きっと給料でスロット三昧の日々を送っていると思っていました。

ところが彼らは全員次の働き場所を見つけて、普通に働いていました。

相変わらずスロットはやっていたようですが、ちゃんと居場所を見つけていたのです。

まだ仕事が決まってなかったのは僕だけ。

飲み会がお開きなり解散するとき。

僕はふとAさんのズボンに目をやりました。

そこには真新しい茶色いベルトがギュッと締められていました。

僕は急に焦燥感を感じました。

人の心配をしている場合ではありません。

僕が一番遅れているのです。

ゆんつ
ゆんつ

ヤバい!

次の日から僕はより一層真剣に仕事を探し、それから1か月後に何とか新しい会社に就職しました。

あのとき派遣で一緒に夜勤をしていたスロット3人衆は今でも元気にしているでしょうか?

特にトラロープをベルトにしていたAさんは元気でしょうか?

僕が派遣で働いた経験の中で一番印象に残っている人です。

それでは、またですー。

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