こんにちは、ゆんつです。
現在、「衆議院選挙」が行われています。
世の中は選挙一色で、昨日までは朝から夕方まで選挙カーが走り回っていました。
僕は選挙と名が付くものには、これまでの人生で一度も出たことがありません。
でも小学生の頃に一度だけ、生徒会長選挙の応援演説をしたことがあります。
その選挙の演説は、僕にとって地獄ともいえる体験でした。
僕は選挙の時期になると、いつもそのことを思い出します。
今日は小学生の時の応援演説の思い出について書きたいと思います。
親友の出馬
小学校5年生の頃、僕にはS君と言う親友がいました。
僕の友達にしては珍しく非常に勉強ができ、なおかつスポーツもできたので皆から尊敬され男女問わず人気がありました。
11月のある日。
S君の家で一緒にゲームをしていると
俺、生徒会長選挙に立候補するから応援演説してよ
と言われました。
僕たちの小学校では、11月の終わりから12月の中旬にかけて生徒会長選挙があるのです。
S君が生徒会長選挙に出ることや、僕に応援演説を頼んだことにびっくりしながらも、僕を選んでくれたことがうれしくて2つ返事でOKしました。
僕たちの秘策
その日から僕は、彼を推薦する理由をノートに箇条書きにし、その理由を盛り込んだ応援演説の現行の作成にとりかかりました。
数日かけて出来上がった文章は、彼がリーダーシップを発揮した具体的なエピソードなどを盛り込んだ無難なもので、S君本人からも担任の先生からもOKをもらいました。
S君も自分の演説の原稿を作り終え、その日から僕とS君は演説当日に向けて2人で演説の練習を始めました。
ある時S君が言いました。
普通の演説じゃつまらないから、何か面白い事をやろうよ
僕が何をするのか尋ねると
演説の最中に俺が机をドンッって叩くから、机を叩いた瞬間にゆんつは衝撃で飛び上がるっていう芝居やろうよ
つまりこういうことです。
S君が熱弁をふるい机をたたいて聴衆に訴えかける ⇒ 机をたたいた衝撃で僕がピョンと上に飛び上がる ⇒ 笑いが起きる
いかにも小学生が考えるような漫画チックなギャグですが、普通の演説をするよりも印象に残りそうです。
僕とS君はジャンプをする箇所の打ち合わせをし、ジャンプをするのは2か所に決定しました。
演説の中間の「僕はこの学校をもっと楽しい学校にします!!ドンッ←机をたたく音」のドンッの部分と演説の締めの「皆さんの1票をどうか僕にお願いします!!ドンッ」のドンッの部分です
その日から演説の練習とともに、机をたたくタイミングとジャンプを合わせる練習も始まりました。
本番前日
選挙演説の通し練習がありました。
通し練習では、本番さながらに立候補者と応援演説をする生徒が集まって、当日の流れを確認したり実際に先生の前で演説をするのです。
僕たちはジャンプはせずに、普通に演説だけして通し練習を終えました。
武器は本番まで取っておくのです。
フフフ・・・
フフフ・・・
僕とS君以外、誰も僕たちの作戦を知りません。
本番当日
各クラスの立候補者と応援演説者が舞台に上がります。
演説の順番はクラス順です。
僕たちは5-4なので1~3まで3クラスの演説を聞いた後になります。
5-1が終わり5-2が終わり5-3の演説が始まりました。
僕たちの緊張も高まってきます。
5-3の演説が終わりに差し掛かった頃僕たちは驚くべき光景を目にします。
清き一票を僕に投票してください!!ドンッ
5-3の立候補者が机をたたくと、隣に立っていた応援演説者がピョンとジャンプをしたのです!
その瞬間、退屈そうに演説を聞いていた生徒たちから爆笑が起こりました。
慌ててS君の顔を確認すると、彼の顔からは血の気が引いていました。
いわゆる「ネタが被る」というやつです。
僕はS君に
どうする?
ジャンプはやめとく?
と耳打ちすると、彼は硬い表情で
ジャンプじゃなくて、でんぐり返り(でんぐり返り=前転)して
と小声で言いました。
僕は
えっ?
と思いましたが、「次は5年4組のS君とゆんつ君です!」というアナウンスによりそれ以上S君に確認することは出来ずに舞台の中央に進みました。
応援演説は途中でつかえたりして拙い部分もありましたが、とにかく大きな声で話すことだけを心掛けて彼がいかに生徒会長にふさわしいかを訴えることが出来ました。
僕の応援演説が終わり、S君にマイクを譲ります。
僕と場所を入れ替わる瞬間S君は小声で
でんぐり返り頼んだよ
と言いました。
僕は覚悟を決めました。
S君の演説が始まります。
僕はこの学校をもっと楽しい学校にします!!ドンッ
僕は床に手をつきでんぐり返りをしました。
全くうけません。
うけるはずがありません。
「机をたたく ⇒ 衝撃で飛び上がる」というのは関連性があるので理解が出来ます。
でも、「机をたたく ⇒ でんぐり返りをする」というのは全然結びつきません。
僕は元の体勢に戻りながら、さりげなく体育館を見回すと、聴衆の頭上には大きな「?」マークが見えました。
ひたいから嫌な汗が吹き出します。
皆さんの1票をどうか僕にお願いします!!ドンッ
でんぐり返りをしながら僕の頭の中には「何でこんな目に・・・」という言葉が駆け巡っていました。
地獄の演説が終わり教室に戻ると、担任もクラスメイトもなぜか僕たちによそよそしく、腫れ物に触るような感じで接してきました。
クラス内では、僕とS君の演説の話はタブーのような扱いになり投票日を迎えました。
選挙結果
生徒会長になったのはジャンプで爆笑をとった5-3の立候補者でした。
S君は2位で副会長になりました。
差はほとんどありませんでした。
演説の順番が逆なら多分S君が勝っていたんだろうと思いますが、勝負事なので仕方ありません。
選挙も終わったある日、S君と遊んでる時に
なんであの時、でんぐり返りにしたん?
と聞いてみました。
S君は
ジャンプに勝つにはバク転かバク宙くらいしないといけないけど、ゆんつはバク転もバク宙できんやろ?
だから、でんぐり返りにしたんよ。
と言いました。
S君は小さいころから体操をやっていたのでバク転やバク宙ができますが、運動音痴の僕は当然できません。
僕ができる最大限のパフォーマンスを彼なりに考えた結果が、でんぐり返りだったようです。
S君は、中学2年の時に再び生徒会長に立候補し、今度は応援演説者に机を叩かせて、その瞬間にS君がバク宙をするという離れ業をやってのけて見事に生徒会長になりました。
彼は頭の良い高校に行ったので高校進学を機に疎遠になってしまいましたが、頭の良い人だったのできっと今は出世していると思います。
これが僕の選挙演説の思い出です。
それでは、またですー。
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