こんにちは、ゆんつです。
先日、友人ら数人と「子供時代の嫌な出来事」について話していた時に、何人かの口から「両親の夫婦喧嘩」というのが出ました。
たしかに、両親がいがみ合ってるのを見るのが嫌なのはよく解ります。
子供にとっての一番身近な戦争が、両親の夫婦喧嘩です。
僕の両親は父が母よりも10歳近く年上だったこともあって、父が母の言動を何でも受け入れるような感じだったので夫婦喧嘩はたったの1回しか見たことがありません。
この事を友達に話すと、全員が口を揃えて「いいなー」と言いました。
友人たちの両親は、離婚はしていませんが、幼少期には頻繁に口喧嘩をしていたそうです。
確かに僕の両親は僕の知る限り1回しか夫婦喧嘩をしていません。
でも、その1回の夫婦喧嘩が、とてもくだらない理由の夫婦喧嘩だったので今でも強烈に思い出に残っています。
今日は、僕がたった1回だけ見た、両親の夫婦喧嘩について書きたいともいます。
きっかけは紳士服屋
僕が小学生の頃の話です。
僕たち家族は2泊3日で福岡、長崎方面に旅行に行きました。
ハウステンボスや大宰府をまわり、美味しいものも食べてとても楽しい旅行でした。
旅行からの帰り道は高速道路は使わずに一般道を通り、色んな所に立ち寄りながら帰りました。
帰路の途中で、紳士服屋の側の歩道を凄く綺麗な女性が歩いていました。
助手席の母が
凄く綺麗な人
モデルさんかしら
というので、皆車の中からその女性を見ました。
確かにスタイルが良くて美人でした。
それから1時間くらい走りました。
信号待ちの車の中で父が
さっき「はるやま」の側を歩いてた人は本当に綺麗だったなー
と何気なく言いました。
すると母は
あそこは、「はるやま」じゃなくて「青山」よ!
と言いました。
父は綺麗な人が歩いていたのは「紳士服のはるやま」の側だと言い、母は「洋服の青山」の側だというのです。
最初はお互いに「自分が正しい」ということを穏やかな感じで話してたのですが、母が父に
あなたの言うことは当たったことがない!
と言い、父が母に
絶対に俺が正しい!
と言い返したあたりから、お互い早口になり夫婦喧嘩の様相を呈してきました。
正直、僕と兄にとってはどうでもいい話なんですが、両親はお互い一歩も引かずにどんどん口調がきつくなってきます。
父はついに車をUターンさせ
俺が正しかったらお前どうするんだ!
といいながら今までの道を引き返し始めました。
母は涙声で
どうして自分が間違ってるのを認めないの!
と金切り声を上げています。
当時はスマホもネットもありません。
父はどうやらその場所まで戻って確認する気のようです。
隣の兄を見ると彼はまぶたをピクピクさせながらタヌキ寝入りをしてました。
僕も兄を見習って狸寝入りをしました。
僕らが狸寝入りをしている間話はどんどん深刻になり、母は父に
離婚したら○○(兄の名前)とゆんつ(僕)を私が引き取って育てる!
などのとんでもない話に発展していきました。
僕はタヌキ寝入りをしながら
えらいことになった
と思い薄目を開けると、隣の兄も薄目を開けて僕の方をみていました。
正解はどっちだ?
車をUターンさせて約1時間が経ちました。
いよいよ夫婦喧嘩の発端となった紳士服屋につきます。
父は
お前が間違ってたら、そこで降ろすから電車で家まで帰れ!
と言い、母は
あなたが間違ってたら、私が運転するから降りて電車で帰りなさいよ!
と喧嘩を続けています。
父が
そろそろだからよく見とけよ!
というと、母は
そっちが良く見てなさいよ!
と返します。
どうやらもうすぐ側まで来ているようです。
車がどこかの駐車場に止まりました。
この瞬間を境に、それまで壮絶な口論をしていた両親は黙ってしまいました。
僕がおそるおそる目を開けると、目的地の建物にはデカデカと「紳士服のフタタ」と書かれていました。
兄も薄目で同じ光景を見ていました。
兄と僕は再びタヌキ寝入りを再開。
無言の車は再び家に向かって走り始めました。
そして家に着いた後も両親は一言も口を聞かず、父はリビングに布団を持ってきて寝ていました。
次の日
朝、目が覚めると相変わらず父と母は口を聞きませんでした。
でも、母は無言で父の出張の準備を黙々としていました。
僕はこの光景をみて
どうやら離婚はなさそうだ
とほっと一安心しました。
父は出張族だったので、一旦家を出ると土曜の夜まで帰ってきません。
土曜日の夕方。
父の好物のカレイの干物を母親が焼いているのを見て
よしっ!
100%離婚しないな!
と確信しました。
if
時々、あの時どちらかの答えが当たっていて両親が離婚にまで発展してたらということを考える時があります。
離婚に付き物なのは引っ越しです。
親友に
両親が離婚するから引っ越すんだ
と告げ
どうして離婚するの?
と聞き返されたときに
「あおやま」か「春山」かで揉めてね
と説明して、納得する人はいないと思います。
どっちも不正解だったことで夫婦仲は修復されました。
そう考えると
あの時、フタタで良かった!
としみじみと思うのです。
これが僕が体験した「世界一くだらない夫婦喧嘩」です。
それでは、またー。
コメント